金狼、銀月

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「ち、くだらない引っかけを・・!」 「やはり、キミは、犬神明でもあるのだね・・」 「いいじゃないか、どうでも、どうして、そうして根掘り葉掘り、人の人生を調べる、興味本位で、オレはおもちゃじゃないんだ」 「青鹿先生は、あのヤクザ事件の後、学校を辞めてアラスカに渡った」ジョッシュの言葉を無視して四郎は続けた。 「らしいですね」ジョッシュはふてくされ、顔を背けて言う。 「アラスカの狼研究施設に、ボランティアで参加した。しかし、赴任後数日して行方不明になっているね。米の入国管理部署が動いたようだが、そこは否定している。誰かによって拉致されたようだ」 「そうですか・・」 「もしかして、キミは、その後の青鹿先生の行方を知っているのか?」 「ノーコメントです。話したくない」 「つまり、知っているのだね」 「だから・・・」 「では、これは・・」 「え?」 「その後、長野県の山奥で一人の女性が、山の中をさまよっているところを、猟師に発見され、保護されている」 「む」 「大分消耗して、記憶をなくしていた。しかも、妊娠していたので、一旦、警察の用意した施設に収容された・・しかし、その後、身元引受人が現れた・・どうやら、彼女の記憶の一部がよみがえったようだ。それで、だと思う」 「・・・・」 「その身元引受人が、キミのおばに当たる、山本勝枝さん、キミのお父さんの姉」 「まさか、どうやって調べた・・」 「別に調べたわけではないようだ。偶然、だよ。不思議なものだね、縁というものは。GENKENの・・まあ、僕たちの日本の友好団体の平山さんって人が、偶然、山本さんのやっている日本食チェーン店の上客でね。そこで山本さんの秘書として働いているその女性を見知っていたんだ。それで・・わかるだろ」 「まさか・・」 「記憶は、あまり戻ってきていないようだけど、山本さんが、彼女を”青鹿さん”と呼んでいたんだよ。それを覚えていてね。君は知らないだろうけど、”青鹿”ってかなり珍しい苗字なんだよね、日本では」 「く、おばさんは、どうして、僕に何も教えてくれなかったんだ!青鹿先生が生きていたと」 「どうだろうね。推測するしかないが、”冷たい”キミが青鹿先生には興味が無いと考えたか、もし、キミが偶然ではなく青鹿先生に会ったら、青鹿先生にどんな”悪影響”があるかわからないからね」
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