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「だから、それは表面意識の問題なのだ。瞑想をするのなら、その表面意識の下の無意識層を理解しなくてはいけない。そういうことだ」
「そんなの、大きなお世話だ、シロー。俺はオレで行く」
「だから、それが周囲の迷惑になるんだってことさ。族の長老がおまえをNYに送ったのは、その厄介払いって側面があったのかも知れんのだ。それが、わからんのか」
「そんな・・・じゃあ、どうして長老はオレを部族に受け入れた、そんな厄介者の」
「だからこそ、おまえがその厄介な性格を直して、真の戦士となることが出来れば、その悪運が逆転して、幸運を齎すものになる、そのことを、よっくご存知なのだろう」
「オレが、この厄介な性格を直す・・」
「そういうことさ。まあ、おまえの潜在意識の問題なのだがな」
「百歩譲って俺が、そんな厄介な性格を心の奥底に抱いているとして、オレはそれを直すことが出来ると思うのか」
「思う。少なくとも長老ポペイは、そう信じておいでだ」
「信じられない」
「まあ、そうかも知れんが、おまえがここ15年ほどで学んだことと、長老の意見とどっちが優れていると思うのか」
「う・・・ム、まあ」ジョッシュが、彼なりに長老ポペイを尊敬しているのは間違い無いようだ。
「とにかく、おまえは、おまえの心の底にある周囲への悪念を自覚するんだ。何よりも、それを自覚していないことが、その制御を邪魔しているのだからな」
「オレが、世界に悪念を撒き散らしている」ジョッシュはもう一度言った。
「そうだ、その邪念の存在を、自覚しろ、アストロボーイ。おまえは、世間を呪っているのだ」
「俺は世間を呪っている・・」
「そうだ、おまえはこの世界を呪っているんだ。そして、その世界を、人を破滅してしまえと思っている・・表面意識で憎んだ人間はもとより、愛している人間に対してもな。すべての存在が、その呪いの対象なんだ」
「ど・・どうして」
「さあ、わからん。わからんが、おまえは、その昔、アラスカで遭難し、両親を失ったそうだね。そのときに何があった?」
「あ、あれは・・・」
「地元の新聞記事では、アラスカの雪原のど真ん中で家に火事が起こって・・と言うことだったが。どうも、違うんじゃないか。そのことを、長老だけには話しているのだろ」
「う・・ウム」
「良くわからんが、ヘリコプターの武装した男達が、キミ達の小屋を襲ったというじゃないか・・」
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