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「湊ぉ、これ頼む」 「わかった。そこ置いといて」 俺は、黒川 湊。26歳。 赤塚産業に勤めるサラリーマンだ。 「湊くぅん」 …ああ、気持ち悪い。 「はい、なんでしょうか」 まあ、紳士的に対応する。 「あのねえ、ここの数字なんだけどぉ…」 地声で話せばいいのに、何故わざわざ声を高くするのか。疑問だ。疑問すぎる。 「ああ、難しいですよね。俺がやりましょうか?」 笑いかける。あーあ、なに恥じらった風にもじもじしてんだよ。 「…なんてね。俺が優しくないの知ってるでしょ?他の奴に聞いてください。恵子さん」 「ひっどーい!けいこ、って昭和臭くて嫌いなの!!ケイって呼んでよお…」 え、アンタ昭和生まれじゃねえの?あ、ギリギリ平成か。
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