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「綺麗事なんて、俺だってそう思いますよ」 俺の言葉に、弾かれたように顔をあげる。 「まあ、捉え方次第だと思いますけど。俺の場合、寄ってくるやつを無我夢中で貪る、一種の作業みたいな感じでした。そんなの、気持ちいいもクソもなかったです」 「じゃあ、なんで…」 「俺、一時期狂ってたんですよね。もう誰でもいいや~って。見た目が違うだけで人間、っていうくくりでは同じですし。体だって勝手に動いてました。誘われるがままに、みたいな」 そこで、鬱陶しい髪をかきあげる。 「ああ、なんで、でしたよね。簡単ですよ。甘える相手がいなかったからです」 部屋に、沈黙が訪れる。 「だったら、好きなやつとやればよかったのに」
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