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「お前、一体…」 どういう過去を歩んできたんだ。…そんな顔。 湊さん、『あの人』にやっぱり似ている。 「まあ、過去を話すつもりはありません。大体わかってるだろうし、昔の話です。もう忘れました」 作業、なんて言葉で濁してたけど、本当は… 「…人の温もりが、欲しかっただけなんです」 そこで、初めて先輩の目をみる。 …ああ、綺麗だな。この人。 俺、酔ってる。お酒に、この状況に、この人に。 馬鹿じゃねえの。罵ってもいい。 ふざけんな。罵倒されてもいいから。 それでもいいから。 先輩の頬を手で包む。 一切動かない。 「…先輩。助けて?」
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