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「…えー、はじめまして。営業部イチイケメンの黒川 湊です」
俺、ノリはいいから。とりあえずノっとく。皆が笑う声が聞こえた。
「まあ、性格は悪いです。口も悪いし、なんなら今、こうして立っているのも面倒です。こんな上司でごめんね。これからよろしく」
新入社員の緊張はすっかり解けたみたいで、イケメンも笑っている。
「ありがとう!いや~イケメンだよねえ!跨って泣かせた…いや、なんでもない」
まさかのそっち!?…と思ったが、あの人奥さんいるし毎日のろけてくるから冗談か。
おい、男全員こっち見てくるんだが。やめろよお前ら冗談じゃねえ。目がガチじゃん。
「じゃあ、教育係を発表しようか!」
やっとか…遅えっつーの。
どんどん発表されていくが、俺は全く呼ばれる気配がない。
よっしゃ…まさかの呼ばれない感じ?
「影月くんは…黒川くん!よろしく~」
マジかよ…まあ、女じゃないだけマシか…
「だ、ダメです!俺が湊さんの代わりにやります!」
…と、何故か抗議の声があがる。
…は?誰…って、木山かよ…
木山とは、俺の二個下の男、24歳だ。濃い顔をしていて、俺の嫌いなタイプ。おそらくこいつはゲイで、俺のことが好きなんだろう。それで、俺がイケメンと一緒にいるのが気に入らないからさっきのようなことを言った。
ないわー。ないない。
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