1-2 精霊の少女

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 一体誰がアイル号を襲撃したのだろう。  息を弾ませシャインは駆けた。  上甲板のヘルム副長や水兵達は襲撃者と戦っているだろう。  彼らは大丈夫だろうか。  シャインは梯子を上り、メインマスト前の開口部から上甲板に出た。  日没を迎えた海上は夜の闇に覆われていて、驚くほどの静寂に満ちていた。  甲板の上は砲撃を受けて立ち込める白い硝煙と、裂けてしまった帆、切れた上げ綱がぶらぶらと幽霊船さながら揺れている。  そして濃い血の匂いがした。  そのせいだろう。息を吸うと眩暈がするのは。  アイル号の水兵四十名と思しき躯が、甲板のあちらこちらに倒れ伏している。  小さなうめき声が聞こえるので、まだ何人かは息があるようだ。  どうして、こんなことに。  一体、誰が。  それらを凝視し、シャインは唇を噛んだ。  いけない。しっかりしなければ。  無意識の内に小脇に抱えた船鐘を握る手に力を込めた。  襲撃者達がまだ甲板にいるはずだ。  彼らの目的はどうやらこの船鐘なのだから。
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