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斜檣(バウスプリット)の向こうに広がるのは、雄大なエルドロイン河の緑がかった水面だ。
けれどその流れは最終的にどこまでも青いエルシーア海へと続いている。
とうとうと流れるそれを眺めていると、船の下で騒いでいる野次馬や来賓達の話し声がどんどん遠ざかっていった。
――さて。
いよいよこの新造船に名を与え、命を吹き込む時が来た。
思えば半年前、彼女はまだ設計図だけの存在だった。けれどこうして自分が彼女の建造に参加し、かつ、命名式まで執り行うことになろうとは想像もしなかった。
この日が来るのをずっと待っていた――本当に。
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