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シャインはメインマストに体を寄せて、身を隠しながら海上を見つめた。
襲撃者の船がアイル号から少し離れた海上で裏帆を打ち、一時停船しているのが見える。彼らは小船を下ろして乗り込んできたに違いない。
あれは何だ?
シャインは襲撃者の乗っていた三本マストの武装船の後ろに、もう一隻船影があるのを見た。こちらも三本マストの船だが武装船より一回り小さい。
それぞれのマストに縦帆があるので、中型のスクーナー船だ。
けれどそのスクーナー船は、武装船を襲撃したかのように、船尾に横づけしている。
と、同時に武装船から火の手が上がった。
船首甲板から上がった炎は、あっという間に静索を伝いフォアマストの帆へと燃え広がっていく。
どういうことだ?
アイル号を襲撃した謎の武装船を、別の一団が襲撃して火を放った?
だがシャインが知る限り、中型のスクーナー船はエルシーア海軍の船には見えなかった。海軍の軍艦の帆は白と決められているが、炎に照らされて見えたそれは、紺か黒色だったからだ。
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