1-2 精霊の少女

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「ぐっ!」  シャインは増した痛みに目を細めた。  シャインを見下ろす男の長靴が、撃たれた左肩の傷口をぐっと踏みつけている。 「お前が持っていてもしょうがないんだ」  痛みで視界がかすむ。  顔を見てやりたいのに宵闇のせいで暗く見えない。  話す言葉はくだけたエルシーア語のようだが。 「これは……渡さ、ない」  衝動的にシャインは口走った。  脳裏に黄昏色の髪をした少女の顔が過ったからだ。  船鐘を抱える左腕に力を込める。 「ああそうかい!」  傷口を踏みつける力が再び強くなった。  急に左手に力が入らなくなった。 「素直に渡せば、鎖骨を折らなくても済んだのに」  男はシャインの顔を覗き込みながら、あざ笑うようにつぶやいた。  シャインの左手は船鐘から呆気なく滑り落ちた。
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