1-2 精霊の少女

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 日没前、船首で佇んでいたのを見た姿は、うっすらとした光を身に纏い、淡く儚げな印象だったが、自分の顔を覗き込む彼女は、生きている人間と同じように見える。 「私が傷口を縛るわ。それを渡して」 「あ、ああ……」  シャインが襟飾りを少女の方へ渡した時、彼女の手がそっと指に触れた。 『ありがとう。船鐘を守ってくれて』  脳裏に彼女の柔らかい声が響いた。  まぎれもなく、シャインに呼びかけてきた声と同じ少女の声だ。  それに気付くと少女がこくりとうなずいた。 「そう。私があなたに話しかけたの」 「君は――『船の精霊(レイディ)』なのか?」 「船のレイディ……?」  少女は一瞬戸惑ったように目を細めた。  何かを思い出したのか、シャインから視線を逸らし俯く。
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