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「俺の名前は」
「知っているわ。シャイン・グラヴェール」
「どうして、俺の名を?」
「皆からそう呼ばれていたのを見てたから」
ああそうか、とシャインは思った。
やはり彼女はこのアイル号の船の精霊なのだ。
「くっ」
左肩に回した襟飾りを少女――レイディが結んでいる。
「ごめんなさい。痛かった?」
「大丈夫だ。ありがとう」
息を吐きシャインはレイディに微笑した。
彼女は眉根を寄せ不安げな顔をしていたが、シャインの笑顔に安心したのだろう。
緊張を緩め笑い返してきた。
彼女がいるせいなのか、不思議と心が落ち着くのを感じた。
冷静さを取り戻したシャインは、ようやく周囲を見渡した。
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