1-2 精霊の少女

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「あの船は三十分前に沈んだわ。火薬庫に火がついて、そこに開いた穴から海水が一気に入り込んだから。もう一隻のスクーナー船はとっくの昔にここを立ち去った」 「……」  シャインはよろめきながらメインマストから離れた。  武装船が沈んだことで思い出したのだ。 「レイディ、君は大丈夫か?」 「えっ」 「アイル号は砲撃を受けたんだ。メインマストの帆桁(ヤード)が吹っ飛んでるし、船体にも穴が開いているはずだ」  そう思う根拠はある。  アイル号が右舷側に少し傾いている。波のうねりのせいではない。 「大丈夫よ。この船はまだ沈まないわ。いえ――沈ませない」  儚げな印象の彼女が、力強くそう、答えた。  ふわりと白い花びらのようなドレスを揺らし、シャインの隣へ歩いてくる。 「シャイン。これからどうするの?」
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