1-1 白昼夢

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 【エルシーア海・北東部海域】 「何か変わったことはなかったか? グラヴェール海尉?」  背後から浴びせられた声で、シャインは物思いから我に返った。  目にかかる前髪を押さえながら振り返ると、そこにはこのアイル号の副長、ヘルム一等海尉が不機嫌そうに唇を歪めて立っている。  背後に近づいた彼の気配を感じ取れないほど、自分は物思いに耽っていたのか。  シャインは慌てて右手を上げ拳を額につけた。 「い……いいえ。今の所異常ありません」 「そうか。ならいい。しかし」  ヘルムは伏し目がちなそれをさらに細め、咎めるようにつぶやいた。
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