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「私に風は影響しない。アスラトルまでの最短航路を示して!」
レイディの手が熱い。
まるで彼女に自分の体温をすべて奪われているみたいだ。
悪寒がシャインを襲った。
歯がかちかちと鳴った。
「最短航路は……まず西へ……エルシーア大陸が見えたら……南に転針して陸沿いに進む……エルドロイン河の河口が見えたら港はすぐだ……」
そうレイディに言ったのは覚えている。
だが闇の海がシャインの目前に迫り、あっという間に意識が暗闇の波へと攫われていった。
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