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「ご報告にあがりました」
ロイスは扉の前で恭しく一礼した。
「お前らしくない失態だな」
開口一番、執務席に座る将官が明らかに落胆の意を込めた口調でつぶやいた。
「申し訳ございません。思わぬ邪魔が入ったのものですから」
「その件はまた後で調査してもらおう。それよりも」
手招きされたのでロイスは執務席へと近づいた。
依頼主の将官は、猛禽を思わせる鋭い水色の瞳でロイスを見つめている。
心の奥底まで見透かすような――。
この男に隠し事はできない。彼は自分の他にも自由に動かせる情報網を持っている。
ロイスの背筋に緊張が走った。
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