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「笑ってばかりいないで教えて下さい。ホープさん!」
「はっ……ははは……そう……そうじゃのう……」
シャインのいじましさを感じたのか、ホープがやっと笑うのを止めて、ふうと乱れた呼吸を整える。そしてこの何も知らない若者へ説教を垂れようとするかのように、ごほんと一つ大仰な咳払いをした。
「『使い走り』っていうのは、後方支援艦隊に所属する船のことをいうんじゃよ。お前が本国を離れていた時にも、新しい命令書や手紙に物資。それらを積んだ等級外の小さな船(スクーナー)が来ただろう」
シャインは大きくうなずいた。
「はい。そういえば、ホープさんに差し入れを頂いてました。お礼を言うのが遅くなってすみません。シルヴァンティーの新茶、美味しく頂きました」
「おお。ちゃんと届いたか」
「ええ」
「まあ『使い走り』とは、大砲を積んだ大型船に乗る連中が、彼等の仕事を皮肉っていう愛称みたいなもんだ。言葉は悪いが、彼等は命令を受けたら、どんなに遠い海でも最短航海日数で積荷を届ける。それは風を読み正確に船を操ることができる、一級の船乗りでないとできない仕事だ」
シャインはホープの言葉に深くうなずいた。そして改めて設計図に視線を向けた。この船は、彼女は、海を駆けることを何よりの使命として生み出される――。
「どうだ。気に入ったか?」
シャインは一瞬息を詰めた。ホープに胸の内を覗かれたような気がした。設計図から引きはがすように顔を上げると、ホープが口元をゆがめて再び笑っていた。
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