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「ええ。とても」
シャインは心の底から真意の言葉を吐いた。この気持ちはなんだろう。
目を閉じれば何故か完成した彼女の姿が浮かび上がってくる。本当に自分はこの船が気に入ってしまったのだろうか。
「そうか。なら、お前に頼みがあるんだがな……」
ホープの笑みが顔全体へと広がっていく。
「シャイン。よかったらワシと一緒に彼女の建造を手伝わないか?」
「えっ?」
「肩の完治まであとひと月ぐらいかかるんじゃろ? こんな湿っぽい所じゃなくて、ワシの家に来ればいい。造船所の方が気が紛れるじゃろう? それに外洋勤務に出ていた者は、希望すれば半年の休暇が申請できる。この新造艦の工期は半年じゃ」
「ホープさん……」
確かにホープの言う通りだ。アイル号に乗る前、シャインは一年南方のリュニス方面を哨戒する警備艦に乗っていた。だから、半年休暇を取ってから任務に戻れば良かった。けれど何の目的もないまま、陸に半年も留まるなんて耐えられなかったのだ。
よって、人員が空いていたアイル号への乗艦を希望したのだがこのありさまだ。
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