1-5 黄昏の邂逅

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 造船所で船大工達をまとめるのが、船匠頭のホープだ。  彼の家は設計士たちが詰めている事務所の隣にあり、他の職人達と同様、船を造る時に出た端材で建てられた一軒家だった。  その出入口の梁の上には、おそらく樹齢四、五十年の立派な楡の一枚板が、アーチを描いてはめ込まれている。本来なら船の船腹に使用する部品だと思うが、乾燥が不十分か何かの理由で廃材になったのだろう。木を知りつくしたホープは、端材とはいえど良いものばかりを選んでいる。  療養院を出たシャインは約束通り、造船所内のホープの家で寝起きしながら、例の小型船の建造に参加した。  そして半年が過ぎた――。
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