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まさか新造船の甲板で、彼が船大工の真似事をしているとは思わなかった。
そもそも自分の船の建造に参加する艦長なんてきいたことがない。
けれどそれは本来称えるべき行為だろう。
彼はその若さで、真に船の事を理解する方法を知っていたのだから。
ジャーヴィスはその事実に気付いて愕然となった。
完成した船の表面を眺めた所で何がわかるというのだ?
船体を組み立てる工程を、一から見てきた彼と自分の間には、決定的な差がすでに生まれている。
いざとなったらこの船は自分がなんとかするしかない。
そこまで考えていたジャーヴィスは、急に恥ずかしくなって、逃げるように彼の前から立ち去ったのだった。
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