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もっとも、来賓は命名式が終了するまで乗船が許されない。
海軍関係者――新造船は後方支援艦隊に属することになる――それを統括する頭髪が少し寂しくなったのっぽのエスペランサ後方司令官や、人事審査会の委員長トリニティ。
そして建造を手掛けた船匠頭ホープや部下の船大工など、命名式のしきたりを知っているものたちは静かに決められた場所で用意された椅子に座り待機していた。
だがグラヴェール家と大なり小なり縁のある(そう思い込んでいる)貴族や、商船を何隻も抱える船主や武器商人たちは、何故船に乗れないのか口々に文句を言い合っている。
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