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風をはらみ後方へなびく紺碧のマントは、肘の所まで隠れる同色の短いケープが上から重ねられており、少佐の階級を示す銀糸の帯が二本縁取られている。
膝丈まである上着の襟の所にも同じ銀の刺繍が施され、首には薄紫の襟飾りが結ばれている。上着には右肩から左の襟まで装飾用の金鎖が渡され、彼の動きに合わせて上品に揺れている。
式服や軍服という類いの物は形がきっちりしているため、誰が着てもそれなりの格好がつくが、この華美で重厚な軍服を自然と着こなしている所に、彼の生まれながらに備わった気品の高さを感じずにはいられない。
グラヴェール艦長とまもなく呼ばれるようになる彼は、何気ない仕種で風をはらむマントを捌くと、続いて馬車から下りる老齢の神官の為に手を貸した。
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