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「おいでになりましたな。我らの素敵な艦長様が」
渡り板が置いてある船の出入口――舷門の前にジャーヴィスが来た時、三十代の大柄な筋骨逞しい男がぼそりと茶化した口調でつぶやいた。良く陽に焼けた浅黒い肌に、伸ばしっぱなしの黒髪をひとくくりにした航海長のシルフィードだ。
ジャーヴィスは彼と以前同じ軍艦に乗ったことがある。船から人間関係から全てにおいて新しいこの環境で、見知った顔がいるのは実に心強い。
ジャーヴィスはちらりと彼の顔を見上げ、相変わらずそこに点々と無精髭が生えているのに気が付いた。
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