1-4『使い走り』

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 シャインは差し出されたホープの右手を握りしめ、上下にぶんぶんと揺さぶった。 「それを今言おうとした所だったんです。ありがとうございます! ホープさん!」 「おいおいシャイン。わかったから、手ェ、離してくれんか」  こうしてシャインは、王立海軍造船所の片隅に急遽設けられた船台で、自分が乗るべき船の建造に携わることになる。  そう。完成したらこの船に必ず乗りたいと思ったのだ。  シャインは今所属している外洋艦隊へ戻る気などさらさらなかった。  その任務は領海内の不審船を取り締ることなので、限られた海域に留まることを常に強要されるのだ。  よってシャインは特権を行使することにした。  一年以上の長期航海に出た士官には、半年の休暇の他に、希望する船への転属願いを申請する事ができるのだ。
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