プロローグ

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 赤ちゃんはコウノトリが運んでくる、という絵本を小さい頃に読んだ。  幸せを運ぶというコウノトリは、子どもに恵まれなかった善意に満ちた心優しい女性の元に赤ちゃんを運んできた、というお話だったと思う。  また別の絵本では赤ちゃんは自分でお母さんを選んで生まれてくる、という話もあった。  優しく愛情深い女性のところへ、赤ちゃんはお母さんを求めてやってくるのだと。  頑張って真っ直ぐ生きてきたつもりだけど、コウノトリさんにも赤ちゃんたちにも選ばれることがなかった私は、きっと優しくも愛情深くもなければ、良い人間なんかではないということかもしれない…………。  だからね、こんな私と出会ってくれたキミたちにいつも感謝しているの。  そして、もう全てを投げだしたかった、あの日の私を拾ってくれたケンちゃんにも。
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