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片山の家に帰ると、もうみんな寝ていたのか誰も降りてこなかった。もう遅いし、マイケルの携帯に送った赤ちゃんの写真で盛り上がって満足したのかもしれない。
「じゃ、おやすみ」
私は手を振って自分の部屋に行こうとすると、ケンちゃんに腕を掴まれた。
「なに?」
見上げるとケンちゃんの顔が近づいて、そのまま唇が私の頬に軽く触れた。
「おやすみ」
少し照れた様子でケンちゃんは階段を上がって行った。
そっか。付き合い始めたんだもんね。
なんて思いながら、今までと変わっていく不思議な感覚があったけど、心の中がほんわり温かくて、なんだか優しくなれるような、そんなポカポカした気持ちになった。
きっと私、また幸せ顔になっている。
不思議だな。
この家に来てから、子どものことで幸せを感じることは沢山あったけど、自分が幸せになりたいってあまり思わなかった気がするの。
だけど、今は自分の幸せを感じることができた。
それがとっても嬉しくて、また幸せ顔になってしまうかも。
私の中で、少しだけ昨日とは違う、新たなステージに移ったのを感じた。
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