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帽子の男たちがわたしにじわじわ近づいてくる……
「わ、わたしは……」
そのときお父さんのか細い声が聞こえた……
「そ、そいつは……ちいかは……料理がへたくそなんだ……わざわざまずくしなくても、じゅうぶんまずいから……大丈夫です……まずまず団のみなさん……」
帽子の男たちはぐるりと顔をお父さんの方に向けた。
「本当か?」「本当かい?」「うそついたら」「舌をぬくぞ?」
お父さんは震えながら「本当だ……本当だ……」と小さな声で伝えていた……
わたしも怖くて震えてた……常連のおじさんが支えてくれていたから、なんとか立っていられた……
「じゃあいいや、俺たちは帰るね」「またまずいお店を増やせたね」「俺たちの世界征服どんどん進んでいるね」「じゃあね~まずまず~」
そうって帽子の男たち……まずまず団の二人は帰っていった……
「お父さん大丈夫?!」
「ちいか、大丈夫だったか!!」
お父さんとわたしは同時に叫んだ。
「あ~。怖かったなぁ、あれが噂のまずまず団のやつらかぁ~。」
「え、やだ、マジでまずまず団っていうの?存在したわけ??」
店内あちこちから声が上がる。
まずまず団っていったいなんなの……?
「ねえ、お父さん!大丈夫?」
わたしは震えながら、カウンターの中にはいる。
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