□ 「真夏の真昼の夢。」

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 重い腰を上げると、風の中の微妙な涼しさは、横になっている時よりも強く感じる。もうそろそろ日も沈んで、夜が来る。お母さんはきっと、今日も遅いんだろうな。お腹も空いてないし、ご飯は後回し。  気晴らしに散歩でも───って、わたしの趣味が特に意味のない外出になっていることに気が付いた。家にずっといるのは退屈だし、どちらかと言えば外に出ておきたい。なんて。所詮は引きこもりの気晴らし。  外からの音に混じって、微かな気配。リビングから。なんだろ。扉を開けて、納得。影の多い部屋を、つけっぱなしのテレビが照らす。まーたしょーもない地元のニュース。女子中学生が意識不明の重体って、知るか。わたしには縁のない話。とりあえず消して、一気に暗くなる。この部屋はもう夜だ。外の世界もすぐにそうなる。暗くなってから出歩くことに、躊躇いはない。今どき普通でしょ。塾通ってる子なんて特にそうじゃない。あ、わたしは不良とかじゃないです。クラスによくいる、中途半端に真面目でたいした特徴のない女ですよ。ちなみに占いは信じるタイプね。都合の良いとこしか受け取りたくないけど。     
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