さよならサヴァラン

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 今まで大勢といたからだろうか、いつもならば何も思うことのない夜道を、酷く静かに感じる。足どりが重い。歩き慣れた道なのに、いつもより遠い気がする。(うるさ)いお喋りに延々と附き合わされて、疲れたのだろう。全く、うんざりする。  自然と、溜息がこぼれ出る。すると、ふふ、と、女の声で、微かに笑うのが聞こえた。(ひいらぎ)は即座に振り返った。すぐ背後に、同じ学校の制服を着た少女が立っていた。  柊は眉をひそめる……油断した、本当に今日の自分はおかしい。やはり気の進まない集まりになど、出るんじゃなかった。 「君が柊?」  問われて、柊は答えない。少女は間を詰め、柊の顔を覗き込んだ。柊が軽く睨んで見せても、少しも怯まない。 「本当に邪眼持ちなんだ。すごいね」  笑みを泛かべて、少女は云った。緩く波打った長い髪が、いかにもやわらかく風になびいた。  柊は眉間を皺めた。 「何だ、お前。俺に何の用だ」 「君を見張りにきたの」  少女は無邪気に手を振った。「よろしくね、柊」
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