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 秋鹿は図書館を出て、歩きながら柊と一緒にいた少女の姿を思い返した。とびきりの美人と云う訳ではないが、表情に華があって可愛い人だった。柊の恋人だろうか。そう考えると、何故だか自分が照れくさくなった。  誰にも、云わない方が良いのだろうなと、思った。特にハルには。柊のさっきの態度から見ても、彼女のことは秘密にしておきたいのではないだろうか。 「今、柊さんと会ったことは、おばあちゃんには内緒にしようね」 「どうして、」 「その方が良い気がするんだ」  ふうん、と、銀河は云って、「それが秋鹿の願いなら、そうする」  店に帰ると、夕飯の匂いが空腹を呼び覚ました。
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