2

9/10
606人が本棚に入れています
本棚に追加
/292ページ
 手を洗い、店のテーブル席で皆で夕飯を食べる。 「今日も麗らさんたちは来たの、」 「いいえ、今日は来ていないわ。今日はちょっとだけ、暇な日でしたね」  ハルはおどけたように肩をすくめて、水を含む。口の中がさっぱりするように、水には檸檬(レモン)がほんのり混ぜてある。 「そうだ、おばあちゃん。昨日の夜、母さんから電話があって、お正月はこっちに来て過ごしたいって云ってたよ」 「まあ、夏紀がそんなことを……、」  ハルは目を見張り、 「たくさんご馳走(ちそう)を作らなくちゃいけませんね」  頬をきらきらさせて笑う。よほど嬉しいのがこちらにも伝わって、秋鹿も微笑んだ。 「うん、そうだね」  まだ九月なのに、今から正月が待ち遠しい。
/292ページ

最初のコメントを投稿しよう!