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手を洗い、店のテーブル席で皆で夕飯を食べる。
「今日も麗らさんたちは来たの、」
「いいえ、今日は来ていないわ。今日はちょっとだけ、暇な日でしたね」
ハルはおどけたように肩をすくめて、水を含む。口の中がさっぱりするように、水には檸檬がほんのり混ぜてある。
「そうだ、おばあちゃん。昨日の夜、母さんから電話があって、お正月はこっちに来て過ごしたいって云ってたよ」
「まあ、夏紀がそんなことを……、」
ハルは目を見張り、
「たくさんご馳走を作らなくちゃいけませんね」
頬をきらきらさせて笑う。よほど嬉しいのがこちらにも伝わって、秋鹿も微笑んだ。
「うん、そうだね」
まだ九月なのに、今から正月が待ち遠しい。
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