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「しかし向こうから手を結ぶと云いだし、その為の条件をつきつけておきながら、自ら邪眼持ちを連れ去るなどと、まこと、玄帝の地のあやかしどもは卑怯千万ですね」  夕涼が厳しく相手を非難する。雲海は難しい表情をして、腕を組んでいる。 「はじめから、玄帝側はこちらと対等に手を結ぶつもりはなかった。ただ柊の力が欲しかっただけだ」  籠枕が重苦しく云い、夕涼は溜息を吐く。 「邪眼持ちがいなくなった今、我々がまともに玄帝のあやかしどもと戦うのは分が悪い」  誰かが云った。 「しかしこのまま玄帝のあやかしどもにこの地を取られるのは気に食わん」  また別の誰かが云う。 「徹底してやり合う以外にはなかろう」 「そうとも、儂らにはこの白帝様の土地しかないのだから」 「この地を決して奪い取られる訳にはいかん」  士気を高めるように、あやかしたちは吠えた。人とも獣とも違うその声に、秋鹿の(はだ)は粟立った。
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