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殺し合いだと、麗ら彦は云った。もし本当に玄帝側のあやかしたちと戦うことになれば、麗ら彦や清明行者、野遊丸、鳴子守に紗和子、籠枕、雲海に助六に茶漬け……此処にいるみんなが、傷ついたり傷つけたりするのか。
「……どうして……、」
秋鹿は自分の額のつめたさを感じながら云った。「どうして、同じあやかし同士で、傷つけ合ったりするんですか、」
皆のまなざしが一斉に秋鹿に集まる。圧倒されて、秋鹿は頸をすくめた。
「笑止千万。愚問きわまりないですね」
夕涼が辛辣に云う。「人間だって、人間同士で傷つけ合い、争い合うではありませんか」
秋鹿は唇を引き結んだ。慥かにそのとおりだった。
「理由などない」
雲海が低い声で云う。
「我々はただ存在をするのみ。ただ強烈に存在したいだけ。その為に誰かの土地や命数を奪うのは当然のことだ」
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