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 朝、教室に入るなり、久坂に泣きつかれた。 「アキ、数学のプリントやってきたか?」 「うん、一応」  秋鹿が頷くと、久坂は手を合わせて拝むような恰好をして、 「悪いけど、最後の問題だけ見せてくれないか? 誰に聞いても判らないって、そこだけやってないんだよ」  久坂の机のまわりには数人が固まっていて、きまり悪そうにこちらを見ていた。  秋鹿は手こずった最後の問題を憶い出しながら、鞄を下ろした。 「僕も自信ないから、間違っているかも識れないけど……、それでも良い?」  久坂はかぶりを振った。 「良いも何も、大助かりだよ」  白い歯を見せて笑った。秋鹿がプリントを取り出すと、皆はわっと集まってきて、答えを写した。
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