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店の中にはハル一人しかいなかった。麗ら彦たちも、人間のお客さんも、来ていない。ハルはカウンターで、菓子作りの本を眺めていた。入ってきた秋鹿に、「お帰りなさい」と、微笑む。
「ただいま、おばあちゃん。麗らさんたち、来ていないの?」
「ええ、そうなの」
秋鹿はハルの側へ寄り、さり気なくカウンターの上に置かれた郵便物を確認した。
「ケーキ食べますか、秋鹿、」
「うん。鞄置いて、着替えてくるね」
秋鹿はすぐさま二階へ上がり、制服から私服へと着替えてきた。ハルは紅茶を淹れてくれた。
「ケーキは何が良い?」
「自分で取ってくるよ」
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