4

2/12
606人が本棚に入れています
本棚に追加
/292ページ
 予想どおり、明くる朝はいつもより早く目覚めてしまった。少し肌寒い。もう秋なのだなと、秋鹿は思った。着替えて店に下りると、早起きのハルはすでに働きだしていた。 「おはよう、秋鹿。銀河。早いですね」 「おはよう、おばあちゃん」 「おはよう、ハル」  銀河はまだ睡いのか、欠伸(あくび)をした。ハルは秋鹿に紅茶を淹れると、パンケーキを作りはじめた。 「何か手伝うことある?」 「ありがとう。店の前の花壇に、水をやってくれますか」 「うん、判った」  店の前には、ハルが丹精込めて育てている薔薇や、他にもたくさんの花々が植えられている。どの花も歌っているみたいにいきいきとしているのは、ハルの愛情を(ゆた)かに受け取っているからだろう。おばあちゃんは、緑の指を持つ人だなと、秋鹿は思った。
/292ページ

最初のコメントを投稿しよう!