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ちょうど水やりが終わったところで、助六と茶漬けがやって来た。
「おはよー、秋鹿あ、銀河ー、」
「おはよう、助六、茶漬け。ふたりとも今日は早いね」
「うん。俺、まだ睡たいんだけど、兄者に叩き起こされちゃったよお」
と、茶漬けは前脚で瞼をこする。秋鹿は小頸を傾げた。
「今日は何かあるの?」
「いや、そう云う訳ではないのだが、早起きは三文の徳と云うであろう? 我々もまだ修行の身、日々精進して、徳を積むことが大事なのだ」
助六がやや早口に、真剣な面持ちで答える。
「そうなんだ」
秋鹿は感心して頷いた。常にこの地を守る為にひたむきに努力を重ねる二人の姿勢を、自分も見習わなくてはと思う。
「そうだ、今日の朝ごはんはパンケーキだよ」
その言葉に、茶漬けは元気良く両耳を立てる。
「そうだ、今日はパンケーキだった!」
云うなり、店の中へと駆け込んでいく。秋鹿と助六も中へ入った。甘い香りが店内いっぱいに広がっている。秋鹿はテーブルの準備をした。焼きたてのパンケーキの登場に、茶漬けが歓声を上げ、銀河もぱたぱたと尻尾を振った。
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