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「そ、そんな……こっちこそ……」
秋鹿はしどろもどろになる。ハルがカウンターから出てきて、秋鹿の隣りに並ぶ。
「こちらこそ、秋鹿がいつも仲良くしてもらって。久坂君にはとても感謝しているんですよ。転校したての秋鹿にいろいろと親切にしてくれて。本当に、ありがとうございます」
ハルは深々と二人に頭を下げた。
「いやあ、そんな。創はただアキ君と仲良くしたいだけですよ」
そう返しながらも、久坂の父親は嬉しそうに息子の頭をわしわしと撫でた。
照れ隠しか久坂は眉をしかめて父親を見上げ、父親が手を下ろすと、秋鹿に視線を戻した。
「悪いんだけどさ、アキ。ここのケーキを持ち帰ることって、出来るか?」
秋鹿はハルを見た。ハルはにっこりと頷く。
「ええ、もちろん。お好きなものを包みますよ」
「ありがとうございます」
久坂の父親が礼を云う。
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