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秋鹿は久坂に今日のケーキの種類を教える。久坂はチョコレートケーキを選んだ。「四つお願いします」
「はい。良かったら、スイートポテトのケーキも食べて下さい。秋の新作なんです。私たちからのお見舞いと云うことで、一緒に入れておきますね」
「そんな、良いんですか?」
すまなそうに久坂の父親が云う。
「ええ、ぜひ皆さんで召し上がって下さい」
「どうもありがとうございます。ではご好意に甘えて、いただきます」
ハルが用意した箱を渡されると、二人は帰っていった。仲の良い親子だなと、秋鹿は二人の乗る車を見送って、思った。店に戻ると、ハルが云った。
「ご家族思いのお父さんですね」
うん、と、秋鹿は頷き、カウンターの中に入った。
「久坂君が素直でのびのびとしている理由が判りました。今度、お母さんにもお会いしたいわ」
「うん、僕も」
一体どんなお母さんなのだろうと、想像する。
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