怪人になってみた

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「他に質問はあるか? それとほうれんそうって知ってるか? 報告、連絡、相談」 「わかっている」 「ならば誘拐する子供の家の地図を渡す。相手はゴルフ場を経営する金持ちだ。遠慮なくいけ」 「わかった」  こうしてゴリラダーは初任務に向かう。  怪人になれた。もうなにも制約はない。圧倒的な力で誰にも屈しない。  ゴリラダーはその子供のいる家に自転車を立ちこぎで走っていた。  辺りから悲鳴が聞こえる。 「か、怪人だ!」 「キャアアアア!」 「車とか持ってないのか!? 」  心地良かった。今まで生きてきて、こんな注目を浴びたことはなかった。  車だと? そんなもんは必要ない。何故ならここは東京だ。なくても充分生活できる。それに車の排ガスは環境に悪い。愚かな人間共よ貴様らには理解できまい。  そして、目的の家についた。高級住宅街にある大きめな家だった。 「ここか」  ゴリラダーは自転車を降りた。  そしてピンポンを押した。  は~いと返事が返った。  そして、しばし。 「なんですか~?」  エプロン姿の女性が顔を出した。子供の母親だろう。
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