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豆粒の様に小さくてもそれが本田だと気がついた東。もちろん本田が力強く頷いたのも見えた。急いで窓を開くが10階ともなれば少ししか開かない。
だが、そこからロープの端を階下の本田に届けた。下についたロープを確認し全体重をかける東は本田からは見えない。
そして何も見えずとも東の準備が整った事に気が付いた本田の体重でロープが軋む。
「ぐぐぐぐ。」
歯を必死に食いしばる。
ロープが食い込み真っ赤になった掌は痛々しい。
しかしそれは本田も変わらない。
同じ痛みを共有しながら、ここまで必死に本田が昇ってこようとしているのがロープから伝わる。
「ぐぐぐ……こんなの本田刑事に殴られることに比べたらどうってことないっす!!!」
そう言い聞かせ、ロープに体重をかけ耐える東。
そして頭上でガラスの割れる音がする。
「待たせたな。」
飛び散る破片、そして窓枠には待ち望んでいた男が立っていた。
「本田刑事!」
ヒリヒリする掌で本田と握手を交わそうと差し出す。
しかしその横を通り過ぎる本田。そして一言「お前をまだ認めたわけじゃない」と言い放った。
「……」
「刑事としては認めている。お前はそれだけの力を俺に見せてきた。だったら……」
モーニングを翻した本田は東と向き合う。
「自分が夫に相応しいという事も俺に見せてみろ!!」
そのギラついた眼光に東の身が引き締まる。
「はい! 本田刑事、見ていてくださいッ!!」
ふっと口角をあげる本田。
「刑事じゃない……今は、お義父さんと呼べ!」
突き上げた親指はいつもより柔らかく見えた。
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