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一時はどうなるかと思ったが、どうにか挙式は始まった。
(さて、あとはどう本田刑事に認めてもらうか。どうしたもんっすかね)
夫として認めてもらう試練の場だったが、その緊張も直ぐに消え去った。洗礼された姿の奈々に壇上の東も一安心のため息を漏らす。
汗の滴る本田と一礼し、横で控える知美が奈々に近寄る。少し頭を下げ、花嫁を邪悪なものから守るためのベールダウンの儀式を東も微笑んでみるつもり……だったのだが……
邪悪な真っ赤な悪魔を東は発見してしまった。
それは花嫁に迫るどころかすぐ横にいた。
邪悪とは程遠い穏やかで、しかし悲しい表情をする本田の……。
────社会の窓に。
「?!」
ヴァージンロードにも負けぬ真っ赤な代物がモーニングのチャック全開で覗いていた。元来あの窓から覗くものは総じて下着だというのは一般常識だ。
つまりあの真っ赤な物は……
「くあ……」
蚊の鳴く様な声を漏らした東に気が付いた神父も本田の真っ赤な悪魔に気が付き「プっ」と吹いた。
心の中で「Shut Up!!」と悪態をつきながら口元に人差し指を持っていく。
外国人特有のオーバーリアクションな頷きと微笑みが憎たらしかったが、今はそれどころではない。
もう一度本田の社会の窓を見る。よくみると悪魔の上にはさらに大魔王が控えていた。
「?!」
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