File4 父と娘、ときどき相棒

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──そして数日後 「まだお前にそれは早いんじゃないか?」 張り込みのパトカー内で腰周りを気にする東に本田が言う。 ズボンの隙間からチラリと覗くと、赤いあれが窮屈そうにしている。 「巻き方が悪いんだよ、ほれ」 本田が覗かせた腰周りはきちんとして、締りが良さそうだ。 「やっぱりまだまだっすね。……んぐ、んぐ」 手にした袋からは甘い香り。その中から1つクロワッサンを取り出し、口に放り込んだ。 その横で本田の目付きが変わる。 「いくぞ東っ!!」 「んぐっ?! はいっす!!」 バタバタと身の回りを整理し、ドアレバーに手をかけ外に出る。 目の前には今追いかけているホシがアジトにしている怪しい商業ビル。 「おいこら、食いながら歩くんじゃねぇ!」 クロワッサンを頬張りながら1歩を踏み出した東に本田の叱責が飛ぶ。 慌てて飲み込み「ほっぺについてるっすよ」と本田の頬のパイ生地を指摘する。 「久しぶりだから嫁がデカく作りすぎたんだよ」 本田のクロワッサンは数年ぶりに知美の手作りに戻った。そして東が慌てて飲み込んだのはもちろん…… 「奈々の為にも早く捕まえて帰るぞ、新婚め」 「そんな理由で雑に仕事したら怒られるっす。「市民の平和が優先よ」って。ね? お義父さん?」 「ふん、一丁前に言いやがって。それに今はお義父さんじゃねえ」 二人は拳を突き合わせる。 ──刑事と呼べ!! 完
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