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東を人質にして仲間の解放を本田に訴える犯人。
「俺の仲間を解放しな」
奪った拳銃がカチャリと音を立て、銃口が東のこめかみに触れる。
薄目を開ける東に、本田はやれやれと肩をすぼめた。
「東、ぼさっとし過ぎだ。」
「面目ないっす。」
こんな状況なのに本田は東を叱責し、捕まえた犯人の足も拘束した後、ゆっくりとにじり寄りだす。
「来るな!この男がどうなってもいいのか?!」
「ふん。刑事の癖に拳銃を奪われ、人質にとられたその青二才の責任だ。なあそうだろ青二才刑事?」
東を見捨てた発言に犯人は後ずさる。
「はい。」
「自分の命と犯人逮捕、刑事が優先させるのはどっちだ?指導時代から耳にタコが出来るほど言っただろ?」
「犯人逮捕っす。」
後輩の生死をものともせず近寄る本田に犯人は銃口の向きを変えた。
「それ以上近寄ってみろ。てめえを撃つぞ。」
震える銃口が本田に標準を合わせる。
それでも本田は物おじしない。
「人の話聞いてなかったのかあ?」
本田の巻き舌は、犯人のもつ拳銃だけでなく足まで震わせた。
「犯人逮捕の為なら、部下の命も、自分の命も……いらねえんだよ!!!!!!!」
聞き足に力を込めて犯人にタックルをかます本田。
犯人は迫りくる本田におののき……。
「来るなあ!!!!!!!」
───引き金を引いた。
パンッ!
「「「「?!」」」」
軽い音がして、本田の身体が後ろに跳ねる。
「本田刑事いいいい!!!!」
東の叫び声が壁を、窓を、震わせる。
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