残酷兎と優しい猫

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 ある場所で、一匹の黒猫が鳴いた。  よかったと。  樫の木が、猫に語りかけた。  お前は優しい子だと。  猫は言った。  貴方には及びませんよと。  樫の木は、その世界の神だった。  猫は神の使いだっだ。  けれど、その事実を兎は知らない。  知らなくても、良いことだから。  また、どこかで誰かが居場所を失い、やってきた。  猫は鳴く、こんにちは、と。
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