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残酷兎と優しい猫
あるところに、一匹の猫がいた。
また、あるところに、一羽の兎がいた。
猫は賢く冷静で、優しい子。
兎は好奇心の強い、いたずらっ子。
それだけならまだしも、兎には大きな欠点があった。
それは、とても残酷なこと。
兎はとても残酷で、自分のためなら兄妹さえも、簡単に傷つけてしまう。
ある時、ついにその兎は村から追い出されてしまった。
兎は一人村を出ていった。
それを見送るものは、誰もいなかった。
けれど兎は、それを気にしたそぶりもなく、「自由だ!! 自由だ!!」そう言って、楽しそうに走ったり、飛んだり、踊ったりしていた。
兎は、暗くなるまで走った。
とにかく走って、走った。
暗くなってからようやく、兎は寝床を探し始めた。
兎は、キョロキョロと辺りを見回し、大きな樫の木を見つけた。
それを見つけた兎は、一目散にそこに走っていった。
そこに着くと、一匹の猫が眠っていた。
兎は、その隣に座り、眠った。
「君、一体誰?」
その言葉で、兎は起きた。
声をした方を見ると、黒い毛並みと金色の目の猫がいた。
「僕は、兎のグレイ。よろしく」
「そう。私は猫のブラック。よろしく」
グレイは元気よく言い、ブラックはどこか気怠げにそうに言った。
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