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入口をくぐり抜けようやく帰ってくることができたのだと、そう思った。
そう思った瞬間、グレイは安堵感からか、疲労感からか、倒れていた。
ブルーの声により、グレイは目を覚ました。
ブルーはとても心配そうにこちらを見下ろしていた。
グレイはベットの上に横たわっていた。
ベットは、汗でぐしょぐしょになっていて、グレイの体も汗まみれだった。
その時、グレイは、ハッとした。
自分は村を追い出されたのだ。
またこの村で過ごせるはずがない。
あれだけ必死になって、ここまで戻ってきたというのに、またあの場所に行くことになるかもしれない。
そう思うと、あの恐ろしさが蘇り、グレイはブルーに抱きつき、泣きながら、あの場所の話しをした。
突然のことにブルーは、困惑しながらもグレイの話しを聞いた。
それからしばらくして、グレイはようやく落ち着いた。
それに気づくと、ブルーはゆっくりとグレイに語りかけた。
その内容は、グレイにとって、とても驚くべきことで、とても安心することだった。
グレイは、村から追い出されていなかった。
あれはグレイの夢だったのだ。
それから、グレイはいたずらをやめて、周りの人に感謝して、過ごすようになった。
あれは夢であって、夢ではなかったのだと、グレイは感じていたからだ。
そして、あの夢がなければ、いずれ自分はあの夢の通りに村を追い出されていたかもしれないとも、グレイは感じていた。
どこからか、猫の鳴き声がした。
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