きらきら、宝石箱のような

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 頭の中にあったノートの事を忘れて、マーカーペンに飛びつく。説明を読むと、線を引くと虹色になると書いてあった。真っ白なノートに虹が描かれるのを想像する。教科書に使ってもいいだろう。弥生の楽しい妄想がどんどんと膨らむ。何よりもペンケースを開けた時に、このマーカーがあるだけで退屈な勉強が楽しいものになる。そんな気すらした。  心の中にある、キラキラがまた一つ増える。目を輝かせ、口元を緩めながら、ペンをレジへと持って行った。  一本二百四十円。プラス、ガムを買って全部で二百五十円。大きい硬貨が細かくなったのにほんの少しガッカリしたが喜びの方が大きかった。  小学生が買えるはここまで。来月こそ、ノートを買おう。小さな紙袋に包まれたマーカーペンを宝物のように抱えて、買ったフーセンガムを口に放り込む。帰り道ぷっと膨らせると、いつもより大きな風船が出来上がった。 □□     
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