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小柄な女性が拳を握りしめ、祈りを捧げる様子を、誰もが微笑ましく見ていた。
午後一の定例役職会議の結果を今か今かと待ち望んでいたのは、みどり文具で働く最上弥生だ。本日の課長以上の役職会議にて、弥生の出した企画の審査が行われていた。
モデルディスプレイを用いたプレゼンテーションは、凡そ好評だった。プレゼンテーション終了後の、上司達の反応は悪くなかった。
お願いします!
神よ仏よお母さん様よと、とにかく何かに縋る気持ちで、弥生は祈っていた。
弥生は昔から文房具が大好きだった。
レインボーマーカー、香り付きボールペン、チョコレートの香りのする消しゴム、キャラクターのついた鉛筆キャップ。
筆箱や引き出しを開けると、キラキラした世界が広がっていた。
小遣いの日に弥生は、小銭を握りしめて文房具店に走った。今月はこれ、来月はあれ。そう決めて、少しずつ少しずつキラキラした世界を広げていった。
そんな幼少期を過ごした弥生は、文具に対して人一倍思い入れが強かった。それは、歳を重ねてからも変わらなかった。文房具業界で働きたいと思うことは、当然のことだった。
「最上ー」
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