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沈みかけた日が幻想的に照らす境内に、二人の男の姿があった。
「…主に怯えているのは、その土地に深く関り名を残してきた…主に律令国時代の一宮で克その土地に名を残す神々…土地神達でしたよね」
釣り道具を携えた一人の青年が、隣にいる男に話しかける。
「そうだ
彼らは特に、自分たちが人や自分たちの仲間から忘れ去られることを主に恐れている」
そう、黒髪が美しい男が答える。
「土地神達はその土地に名を残す。主に一宮なんかはな…
しかし近代の市町村合併やらなんやらでその土地から名前が消えていった仲間も多くいる
そしてどんどん記憶がなくなったり、力がなくなったりしていくんだよなぁ大山祇が良い例だ」
まぁ、俺らも例外ではないがなぁ、と男は呟く。
「その中でと特に書物などにほとんど記載が無かったりする神は本当に不安定…ですか
彼らは基本化身と同じように姿を見せ、人と共に生活しているというのに」
青年は俯く。
「だからこそ定期的に俺はこの国を造った1人としてあいつらの事を見ていたいんだ
彼らを覚えていてやりたいんだ…存在していたんだということを」
そう男は呟き、沈みゆく日を見つめた。
そして青年も、日を見つめる。
日の光はまるで、この世界を見守っているかのように見えた。そんな光を見て、男は言葉を続ける。
「…皆、この国を長く見守りたいのは同じだからな」
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